【独語】現世は夢
ごぶさたの更新が、こんな記事になってすこし情けないと思う。
しかし、独り言ともとれるこの場でしか、吐き出せないと思い、綴ることにした。
これは、昨日の今日の話なのである。
私には、気に入っていて、たびたび足を運ぶ古物屋があった。
門司港にあるのだが、わざわざそこにいくためだけに電車に乗るのだ。
もともと、店にはおばあちゃんが居て、知る限りでは今年代替わりして息子夫婦と思われる方々が店に立つようになっていた。
たまに、さらにその息子と見られる若い兄ちゃんも居た。
昨日わたしが訪れたとき、その若い兄ちゃんがひとりで店番をしていた。
そして、まだ値段のついていないアラジンのストーブを見つけたので恐る恐る尋ねた。
これは売り物ですか?
はい!
いくらですか?
三千円です!
三千円!?ジャンク品ですか?
いいえ、しっかり使えますよ!
そして、火を点けてもらったところ、しっかり青く燃焼していた。
か、買います!でも今日は電車なので、お取り置きできますか?手付金は置いていきますので。
いいですよ、では千円手付金いただいて領収書切っておきますね。
一週間以内に取りに来てください。
わかりました。うれしいなー!
これ、かわいいですよね。きれいに磨いておきますね!
こういうふうに、わたしは契約をして店を後にした。
すごくうれしかったし、これからのストーブとの未来に浮かれてもいた。
そして本日の話になる。
休憩中に留守電が入っていた。
昨日の店からだ。
若い兄ちゃんの消え入るような声で、
ストーブに問題がありましたのでお売りすることができなくなりました…。
と。
すぐにかけ直すと、ストーブのタンクが腐蝕して、鉛筆一本ぶんくらいの穴が開いている、との内容だった。
なので、社長が売るわけにはいかないと言っている、と。
ここでわたしは食い下がり、修理できないくらいのダメージか?とか、インテリアにするんでそれでも欲しい!と
交渉してみた。
しかし返事は、
売るわけにはいかない
の一点張り。
長くなりそうだったので、またのちほど連絡する、とその時は電話を切った。
諦めきれずに、職場の先輩に話すと、わたし以上に熱心になって、社長と話してあげる!と、
店ではなく、直接事務所のほうの番号にかけてくれた。…くれた?
すると、聞くとどうも社長の証言なんかがあやしい。
しかも、あれはすでに捨てた、と。
不良品とはいえ売約済みの品を、客と連絡つく前に捨てるって、当たり前にあることだろうか。
昨日か一昨日に捨てました、と。
昨日契約したんだが。
話にならない。と先輩もあきらめたふうだった。
しかし熱心になってくれたのはうれしい。
再度、わたしは若い兄ちゃんのほうに電話をしてみた。
この兄ちゃんは話した感じ、いい人だと感じたからだ。
保留になってたストーブなんですけど…
ああ、どうしますか?
あれ、捨てたんですか?
いや、いまは倉庫にしまってますけど…
えっ
えっ
問い詰めてみると、今朝、彼は実父である社長からこっぴどく叱られたらしい。
あれは三千円とかで売れるもんじゃない!と。
ほう。
じゃあ適正な値段を提示してくれたら考えますよ、と社長に伝えるよう言い、また電話を切った。
もっとも、もう適正な値段で買うならよそで買いたいという気持ちになっていたのだが。
それから折り返し社長から入電。
結果、完全に店側の連絡ミスであること、あのストーブはほんとに鉄屑になったこと、お詫びの気持ちとして手付金込みでストーブ代金三千円を振り込ませてもらう、という話になった。
ストーブ代金をもらう意味がちょっとわからないんだが。
まあ、ということで、おそらく、たぶん、もしかしたら、まさかのまさか、あのストーブは鉄屑になったのだろう。
ここにこうして書いているうちにだんだんどうでもよくなってきた。
ブログの大事さにも気付けた。
良かった。
いつか、ほんとに運命のストーブに出会える日まで。
一晩だけの夢をありがとう。
しね。